部会長あいさつ

2023年4月

生活経営学部会について

(一社)日本家政学会生活経営学部会
部会長 天野 晴子


 現代の生活経営は、生活の外部的条件と内部的条件に規定されるところが多く、両者を有機的に結びつけ、その関係性を明確化し、生活資源を主体的にマネジメントするための研究が重要になっています。そこでは、生活主体の側から外部的条件に働きかけ、社会の制度やしくみをつくっていくことも含まれます。生活経営学は、生活設計、家計、生活時間、家事労働、消費者問題、生活保障、ジェンダーにかかわる問題等、広範な研究領域をもち、生活問題にアプローチしています。
 生活経営学部会では、一般の学会の年次大会に該当する行事を「夏期セミナー」と称して、毎年夏に開催しています。近年の夏期セミナーでは、コロナ禍における生活や、世帯を単位として測定されることで見えにくい「隠れた貧困」に注目し、ジェンダーや家族構成による様々な問題のあらわれ方の違いを浮かび上がらせ、生活の内部的条件と外部的条件の関係性を明確化・整序化し、その実態と課題解決に向けた取り組みを検討しています。
 夏期セミナーの特集や部会員からの投稿論文は、毎年3月に発行する学術誌「生活経営学研究」に掲載しています。パンデミックのような急激な社会経済構造の変化を経験し、コロナ禍に続く新たな生活経営の再構築に向けて、本部会が、個人や家庭、社会や環境、またその総合的な関わりから、持続可能な生活と社会をめざす研究の発展と交流の場となることを期しています。